訳あり物件を処分するには?
「訳あり物件」はどんな物件を指すのでしょうか。放火された物件や延焼してしまった物件、あるいは接道が建築基準法の規定に達していない物件など、訳あり物件と聞いて、思い浮かべるのはそういった売却が困難な物件、買い手が付きにくい物件ではないでしょうか。訳あり物件を所有されている方、相続された方はその処分方法に悩まれています。処分しにくいことは確かです。しかし決して処分できないことはありません。訳あり物件をどう処分したらよいのでしょうか。
訳あり物件の定義は?
その性質上、処分したくてもなかなか売りにくい、簡単に売れないような条件がついてしまっているのが「訳あり物件」と呼ばれる不動産です。「訳あり物件」に明確な定義はありません。一般的には物理的や法的、環境的、あるいは心理的に瑕疵がある物件のことを指しています。「瑕疵(かし)」と言うのは「きず。欠点。また、過失」「法律上、なんらかの欠点や欠陥のあること」です。不動産物件の場合には通常あるべき品質や性能がないこと、不具合や欠陥が瑕疵と呼ばれています。
物理的瑕疵
物理的瑕疵がある物件は具体的にどういった物件になるのかを見ていきましょう。わかりやすい例で言えば、雨漏りがある物件は物理的瑕疵がある物件となります。壁のひび割れなども物理的瑕疵とされる場合があります。そのほか、土台が不均一に傾いてしまっている物件、基礎が沈下してしまっている物件、耐震強度が不足してしまっている物件も物理的瑕疵物件となります。シロアリや害虫雨や害獣が巣食っている物件も物理的瑕疵物件、訳あり物件になってしまいます。
法的瑕疵
法的瑕疵がある物件は、幅員4メートルの道路に2メートル以上接していない、つまり接道義務を満たしていない不動産や、建物の上部に17万ボルト以上の高圧線がある不動産、都市計画法によって市街化が抑制されている地域に建てられていた不動産、さらには隣地と境界線が明確になっていない、所有権が複雑に絡み合っている、抵当権がいくつもかかってしまっているなどのような、法律に違反していたり、あるいは法律によって、制限がついてしまっているような不動産などを指します。この法的瑕疵によって、増改築や再建築を行うことができないことから、法的瑕疵物件、つまり訳あり物件となってしまうのです。
環境的瑕疵
不動産物件自体には問題がなくても、周辺から異臭がする、振動や騒音が常時発生している、日照問題があるなど、周辺の環境によって、生活に支障が出てしまうような事象が環境的瑕疵物件となります。日照問題では隣に高層マンションが建っており、日当たりが極めて悪くなっている物件は環境的瑕疵がある物件となることがあります。また、近隣にゴミ処理施設があって、悪臭が漂ってくれば、これも環境的瑕疵となります。
心理的瑕疵
心理的瑕疵で訳あり物件となってしまうのは建物の機能だったり、あるいは物理的に何か問題があったりするわけではなく、生活に支障が出るような問題はないのですが、買主や住まう人にとって心理的に不快感を与えてしまう不動産です。自殺や他殺のあった物件、自然死があって、発見が遅れたために特殊清掃が必要になってしまったような、いわゆる事故物件がこの心理的瑕疵のある不動産です。
訳あり物件を相続したけれど、どうすべき?
訳あり物件となってしまうのはほとんどの場合が、物理的瑕疵、法的瑕疵、環境的瑕疵、心理的瑕疵がある不動産です。仲介による早期売却はなかなか難しく、こういった物件を相続などによって保有することになった方はそのまま保有し続けるのか、あるいは何らかの形で利用するのか、または処分するのか、といった判断が必要になってきます。
一番すべきではないのが放置
訳あり物件を保有することになった場合、一番すべきではないと考えるのが放置です。空き家状態で放置した場合、さまざまなリスクが発生します。金銭的なリスクでいえば、都市計画税と固定資産税の支払いです。空き家状態でも管理をしていれば、「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家対策特別措置法)」が適用となり、税金は安くなります。しかし、放置して、特定空き家に認定されてしまうとこの軽減措置はなくなります。
また、放置していたことによって、不審者が入り込み、イタズラされたり、破壊されたりする恐れがあります。害獣が居着いてしまうこともあるでしょう。衛生的な問題となって、近隣住宅にまで被害を拡大させてしまうかもしれません。自然発火だけでなく、放火の恐れもあります。その火が近隣に燃え移れば、瑕疵がいくつも重なった物件になってしまい、処分は相続した時よりも一層困難になってしまいます。
それなら、解体して更地にして、と考える方も少なくないでしょう。しかし、更地にしてしまっても、固定資産税の減免措置は無くなります。このように考えていくと、訳あり物件を所有されている場合、相続された場合には管理するか、処分するか、などを考える必要が出てきます。
不動産会社に相談する
都市計画税や固定資産税は毎年1月1日の時点での所有者に対して課せられます。それまでに売却、更地にするなど迅速に決断できれば良いのですが、簡単なことではありません。ご自身で何らかの決断や方針を打ち出せないのであれば、不動産会社に相談するのがベストです。一般的な不動産物件に関する売買や賃貸の仲介取引から、訳あり物件の仲介や売買、賃貸住宅管理に至るまで幅広く事業展開をしている不動産会社に相談すれば、ご自身が判断をする上でのヒントとなる提案をしてくれるでしょう。
その結果、コストはかかりますが、不動産会社に管理を委託することになれば、特定空き家ではなくなります。また、不審者の立ち入りなども防ぐことができます。売却した方が良いという判断になれば、仲介や買取などの提案もしてくれます。
訳あり物件でも処分できます
訳あり物件の処分は瑕疵事項があるため、簡単ではありません。なぜなら瑕疵事項のない物件を探している方が多いからです。しかし、全く処分できないということはありません。通常の物件と同様の価格や条件で売却することは困難です。どうしても、瑕疵事項がない物件と比較した場合、価格面で値下げの必要があります。
妥協することで迅速に処分できる場合があります
訳あり物件を処分する場合、売主はどこかで妥協することが必要になってくるでしょう。例えば売却金額の面から考えると似通った立地条件の不動産物件と比較した場合、値下げせざるを得ません。
しかし、売却金額を下げることによって、仲介であれば買主が早く見つかる可能性が出てきますし、買取であれば即時の現金化が可能です。価格面で全く妥協せず、空き家のままにして放置しておくとデメリットも発生しますが、妥協することで、迅速に処分できます。固定資産税が課される前に処分できれば、結果的には金額が買取と大きく差が出ない場合もあります。
東京など首都圏の訳あり物件は良い条件を引き出せることも
東京などの首都圏では、訳あり物件でも、投資用の不動産として、あるいは賃貸用の不動産として、買主や借主からのニーズが少なくありません。そのため、物件のオーナー様は金額や条件に妥協は必要ですが、地方と比較すれば、買主や借主を見つけやすいといえますし、訳あり物件であっても、買主や借主から有利な条件を引き出せる可能性もあります。
瑕疵物件の買い取りは沖建にご相談ください
沖建は設立から30年以上にわたって、「売買」「建築」「設計」「賃貸」のすべてを手掛けてまいりました。弊社はこれまでに様々な瑕疵がついた「訳あり物件」の売買仲介や買い取りを行ってきています。お客さまからご相談を受けた場合には、これまでに蓄積してきたノウハウと、さまざまな観点から、お客さまにとって、仲介がよいか、買い取りがよいか、また売却価格など、ベストだと考えられる方法をご提案させていただいております。所有されている訳あり物件の売却をご検討の際には私ども沖建グループに相談いただければと思います。
東京近郊の訳あり物件であれば、お問合せいただいた当日の審査も可能です。さまざまな角度から検証し、売主さまに対して少しでも好条件を出せるよう、弊社スタッフが迅速かつ慎重にご対応させて頂きます。相談段階の案件でもお気軽にご連絡下さい。